セプテーニグループ PLAYER’S INTERVIEW

迷ったら、変化の大きい方へ。脈々と受け継がれる、“背中を押す”文化

今回の座談会には、社内起業家としてサインコサイン社を立ち上げた加来さんと、セプテーニでキャリアを築き、いまは異なるフィールドで活躍するアルムナイの2人に集まっていただきました。「迷ったら変化の大きい方を選ぶ」という言葉が、どのように彼らの行動の軸となり、どんな場面で体現されてきたのか。創業者の考え方や、事業転換の局面で実際に使われてきた判断軸、挑戦する人を後押しする空気など、外から見えるセプテーニらしさと共に語ってもらいました。迷いの瞬間に彼らを動かしたものは何か。その核心に迫ります。

MEMBER
東 明宏
W株式会社 パートナー
2004年にセプテーニグループに新卒入社。インターネット事業部、新規事業部などを経て、新設の子会社の責任者を務める。2009年に退職し、グリー株式会社にてプラットフォーム事業の立ち上げ/ゲーム会社への投資、グロービス・キャピタル・パートナーズにてベンチャー投資に従事したのち、W株式会社を設立。ベンチャーキャピタル事業やインキュベーション事業を手掛ける。
福西 祐樹
コミスマ株式会社 取締役
2006年にセプテーニグループに新卒入社。約10年間デジタルマーケティング事業に従事した後、2015年よりコミックスマート(現「コミスマ」)へ転籍(※)。2018年1月にコミックスマート取締役就任。オリジナルマンガを配信するアプリ「GANMA!(ガンマ)」を中心としたメディア事業、海外事業、その他アライアンスなどを管掌する。
※コミスマは2024年からセプテーニ・ホールディングスの持分法適用関連会社になっています。
加来 幸樹
株式会社サインコサイン 代表取締役社長
2006年に株式会社セプテーニへ新卒入社し、クリエイティブディレクターとして活躍。2017年のgen-ten出場を経て、2018年4月に株式会社サインコサインを設立。「自分の言葉で語るとき、人はいい声で話す。」という信念のもと、理念やパーパスをはじめブランドアイデンティティ共創やインナーブランディング実現を支援している。
三者三様の「迷い」。その渦中で下した決断

セプテーニに所属していた当時、仕事をしている中で、「これ、迷ったな」とか「困ったな」と感じた局面はありましたか?

この仕事をする、と決まっている状態ではあまり悩まないのですが、キャリアをチェンジさせたり、仕事の仕方を変えたり、どの道筋に進むかという選択をする時には、迷うことがありました。
その時、まさに私は「迷ったら変化の大きい方を選ぶ」をずっと実践してきたんです。もともとミーハーで変化が好きなのもあったと思うんですけど、この言葉をすんなり受け入れて、何かにつけて実践してきた20年でしたね。
転職も複数回していますが、私にとって一番のキャリアチェンジは、IT業界から金融業界へ、事業セクターそのものを変えた経験です。これは自分の中でもかなりのジャンプだと感じましたが、「じゃあ、挑戦してみるか」と。
私の人生にはすごく影響を与えている判断軸です。

加来

私の場合、社内の新規事業プランコンテスト「gen-ten(原点)」に応募するかどうかは、迷ったポイントでした。当時、私は営業経験もありませんでしたし、請求書すらも作ったことがない。そんな人間が事業責任者なんてできるのかな、と。そもそも会社が求めている新規事業と私が出そうとしていたプランは少し性質が違うだろうとも思っていましたし。
本当に出すのか出さないのか、やっぱり止めておこうかな・・と迷っている中で、自分が考えた事業プランをどう思うか、いろんな人に聞いて回ったんです。すると、本当にみんなが即答で「絶対やった方がいい」と背中を押してくれました。
先に新規事業を始めていた私の同期は、もう食い気味に「絶対出すべき!」って言ってくれて。今でも鮮明に覚えているのが、一緒に飲みに行った時に、「じゃあ絶対出すって約束な!」と指切りをさせられたことです。
当時クリエイターとしての仕事も忙しかったので、正直「もう出さなくていいかな」って思いかけた時もありました。でもその度に、「いや、でも指切りの約束をしてるもんな」って。
それが最後の一押しになって応募してみたんですよね。

福西

一般的に「迷う」というと、少し悲観的だったり、不安が伴うイメージがありますよね。でも私にとって、Aを選んでもBを選んでもハッピーなものは、あまり「迷っている」という認識がないんです。「ビールから飲むか、焼酎から飲むか」みたいな感じで(笑)。
だから、いつ迷ったんだろうな・・・。この10年くらいは記憶にないです。
でも20年というスパンで見ると、一度他社さんから「うちの会社に来てほしい」と、お誘いをいただいたことがあって。
それは迷いましたね。必要とされるのは嬉しいじゃないですか。でも一方で、「自分は『必要とされていること』に喜んでいるだけで、事業の将来性をちゃんと比較できているんだろうか?」とか、「じゃあ、今自分がやらなきゃいけないミッションはどうするんだ?途中で投げ出すのか?」とか。そういう意味では、すごく迷いました。

加来

じゃあその時は、セプテーニグループに残る方が「変化が大きい」と判断されたんですね。

福西

結果的には大きかったと思います。その選択は本当に前向きな「変化」なのか、それとも現状からの「逃げ」なのか、と自問自答して決断した感じですね。

なぜ、私たちは変化へと踏み出せたのか?

頑張れば頑張るだけ得られるものが大きそうだ、という感覚は、多くの人が学ぶと思うんです。ただ、行動に移すにはエネルギーが必要ですよね。皆さんを「変化の大きい方」へと駆り立てる原動力、あるいは背中を押してくれたものって、何だったのでしょうか?

福西

セプテーニグループには、常に一定割合で、自ら燃え上がることができる「自燃型」の人がいるんですよね。そうすると、周りにいる人も背中を押されるんです。

私は結構「周囲に負けたくない」「負けないはずだ」という根拠のない自信があったんです。
もちろん、キャリアを重ねる中で、勝負事だけじゃない軸もあるということは分かってきたんですけど、若い頃は「金メダルじゃなきゃ嫌だ」といったアスリート的な感覚が前面に出ていた気がしますね。
そしてやっぱり、セプテーニグループには優秀な人が多かった。今でも当時の先輩、同僚、後輩とは仲良くしていますけど、彼らから刺激を受けて、「自分ももっと良くなりたい」って強く思えた。最初に入った会社で、どういう人に囲まれるかがものすごく影響を受けるんだなって。自分をここまで押し上げてくれたのは、そういう人たちのおかげだなと本当に思いますね。

加来

私も要所要所で、周りにすごく背中を押されたり、身の丈以上の期待をしてもらったりしてきました。
また、私の中では「こうじゃないといけない」って決めつけられるのが、すごく嫌で。何事に対しても、「本当にそうなのかな?」って思っちゃうタイプなんです。
「この仕事はこうあるべきだ」とか、「こうしないと幸せになれない」とか。そういう常識に対して、「いや、実はこういうやり方でもおもしろかったりするんじゃないか?」「自分はこうやってきたけど、それもありだよね」ということを証明したい。それが証明できた時、すごく嬉しいんですよね。そうやって問いを持った時に、いつも周りのみんなが背中を押してくれたなと思います。

「背中を押してくれる」で思い出したんですけど。
当時、私がある新規事業部に異動した時に、上司がまだ在籍1年も経っていない私を課長に推薦してくれたんですよ。
でも私は、課長になった翌月、その上司に「やっぱり自分で新規事業をやらせてください」って言うんですね。
「さすがに怒られるな」って思ったんですよ。「課長に昇進したばかりなのに何やってんだ」って。でも上司は「東、頑張れよ」と言って、送別会まで開いてくれたんです。
その後、私の新規事業はうまくいかず結局会社を清算することになってしまいました。自分の中では全部やりきったと思ったので、セプテーニを辞めるんですけど、その時も壮行会を開いてくれて。そこで七村さんに「なんかあったら、いつでも戻って来いよ」って言われたんです。
それはもうすごく覚えてて。
セプテーニグループを卒業した後、自分がマネージャーとして部下を持つようになった時に、あの時の上司のことを思い出しました。「ここまで育てた部下を、他の部署に出すのはもったいない」って思いがちだけど、「いや、あの時の上司の気持ちでいなきゃいけないな」って。 そして、七村さんの言葉も胸に残っていて、「これはさすがに足を向けて寝られないな」と。
だから、セプテーニから何か相談が来たら、全部受けようって決めたんですよね。

福西

セプテーニには、そういう文化が脈々と受け継がれている気がします。その上司の方じゃなくても、同じようにしてくれる人はたくさんいるんじゃないかな。

誰かが何かを「やりたい」と思った時に、とことん付き合って応援するというカルチャーは、セプテーニ特有のものかもしれないですね。
新規事業プランコンテストでも、「なぜあなたはこれをやりたいのか」というパーソナルな部分をめちゃくちゃ問われるんですよ。それって結構珍しい。でも、すごく芯をついているなと思って。「本当にそれがやりたいのか?」って。それに対して本気で答えられれば、応援してくれる。そういう会社ですよね。

加来

私も、今の事業はセプテーニだからこそ実現できたのかもしれないなと思っていて。他事業とのシナジーは前提にあった上で、意外なことをやらせた方が結果として会社にとって良い投資になる、みたいな思想があるのかもしれないです。

言葉の解像度が上がる時。「変化の大きさ」の本当の意味

福西さんのお話を聞いて思い出したんですけど、七村さんも「選択肢として最後まで残っている時点で、どっちを選んでも正解なんだ。じゃあ、どっちも正解なら、変化が大きい方がええやん」って言っていたと思うんです。この話を聞いた時、すごく納得して。なぜなら、そっちの方が合理的だからなんですよね。

福西

20代の頃の私は、「迷ったら変化の大きい方へ」という言葉を、自分を後押ししてくれる「魔法」や「おまじない」のような精神的な支えとして捉えていました。
でも経験を積むと、変化が大きい方を選ぶことは、その分だけリターンが大きいということなんだと分かってきました。
もちろん実際はリスクも加味するのでそんなに単純ではないですが、事業におけるスケールや価値とは何かを理解できるようになった今だからこそ、「変化が大きい」というのはこういうことか、と解像度が上がってきた感覚がありますね。

加来

自分の人生を振り返ると、「こうなったらいいな」と思い描いて計画を立て、その計画が想像を超えたことって一度もなかったなって思うんです。でも、「変化が大きい方」を選んだ結果、想像を遥かに超える、ということは時々あった。そういう実感があるんですよね。
だからこれは自分が抱く理想とか希望的観測を叶えるための、唯一の方法なんじゃないかなと思うんです。変化の大きい方を選ばなかったら、想像を超えることは絶対にない。でも、選んだら、もしかしたらそれを超えるもっと大きな何かが起こるかもしれない。この言葉を実践してきたことで、そういう実感を得られているんです。

福西

20代の頃は、どうしても主語が全部「自分自身」の変化の大きさばかりを前提に考えていたな、と。でも、キャリアを重ねる中で、主語が変わってきたなと思いました。「事業にとって」「社会にとって」どうなのか。時間軸も、評価する対象も、昔とは変わってきたと感じています。
この言葉って、個人の文脈のみで捉えた時に、「変化の大きい方を選べ」とだけ提示すると、「じゃあ転職します!」みたいな安直なアンサーになりかねないじゃないですか。

まあ、本質的にはそれも否定していないかもしれないけどね(笑)。セプテーニには、たとえ外に出る挑戦であっても応援する度量があるから。

福西

そうなんです。その度量があることを前提としつつ、この言葉の本当の価値は、むしろ会社全体の戦略とか意思決定の場面でこそ、より生かされてきたんじゃないかと思います。
セプテーニがDM事業からインターネット事業へ、そしてインターネットの中でもスマホへと事業の舵を切るタイミングがあった。そういった大きな意思決定の局面で、さらに成長や機会を追求するキーワードの一つとして、この判断軸があった。個人というより、組織の歴史を動かしてきた言葉。それが、セプテーニらしさなのかもしれない、と。

今、この言葉とどう向き合うか

言葉の解釈が深まってきた今、あらためてお伺いします。それぞれのかたちで「変化の大きい方」を選んできた結果、今につながっていること、活きていることってありますか?

福西

経験を重ねていくと「ただ変化が大きければいいのか?」ということは考えますね。立場が変われば、意思決定の重要度も上がっていくので。その「責任の大きさと変化のサイズ」の天秤は、考えられるようにはなったなと思います。
ただ、20年前に比べても、社会の変化が圧倒的に大きくなりましたよね。そうなると、もう「変化のない方を選ぶ」なんてことは、ほぼあり得ない。それをやったら、ただ停滞するし、衰退するだけですから。だからこそ、私たちはこれからも変化を選び続けていきたいと思います。

基本的に私の人生は「変化の大きい方を選ぶ」で突き進んできました。これで自分は成長してきたなという感覚があるので後悔がないし、これ自体は正しいと思っています。結局、一歩踏み出してみないと、その良さって分からないと思うので。
ただ、それをずっと続けてきて今思うのは、その「変化の大きい方」という見方そのものが、すごく短期的だったり、本質的な大きさを見誤っていたりした可能性があるなと。「自分だけの大きさで測っているのではないか」と問い直して、見方の解像度を、これからもっと上げていかなくちゃいけないんじゃないかと気が付きました。

加来

これは私だけかもしれないですけど、この言葉って、丁寧に解説すると「迷ったら変化の大きい方を選べ」というメッセージじゃなくて、「変化の大きい方を選んでいる自分を、肯定しろ」というものなんだと思うんです。
振り返ってみて「迷っている時ってないな」と思えるのは、そういうことなんだろうなって。
そして、これは、「今、ちゃんと変化の大きい方を選べているか?」という、未来の自分をもっとおもしろくするための“問いかけ”でもある気はしますね。
これからもみんなでそれを問い続けていけたら、 自分たちの想像さえも超えてさらに新しい世界がひろがっていくんじゃないかなと思います。

変化を選ぶ人の背中を、全力で押す──。 3人の清々しい表情から見えてきたのは、個人の想いを信じ、応援し合うセプテーニという組織の懐の深さでした。「迷ってもいい、変化を楽しめ」。時代を超えてそう語りかけてくれるこの言葉は、私たちにとっても、一歩踏み出すための追い風になるでしょう。