これまでセプテーニグループの成長を支えてきた「アントレプレナーシップ」。
その精神は多くの社員に浸透してきた一方で、「その先に何を目指すのか」という問いには、まだ語り尽くされていない部分もある。
35期という節目を迎え、次のステージを見据えるいま。掲げられた理念を単なるスローガンで終わらせず、日々の仕事の中でどう実践していくのか。
本座談会では、「どうやって世界を元気にしていくのか」という問いを起点に、セプテーニグループ代表と現場の若手メンバーが、それぞれの視点から仕事の原点とこれからを語り合いました。




神埜
私たちセプテーニグループのミッション「ひとりひとりのアントレプレナーシップで世界を元気に」の前半「ひとりひとりのアントレプレナーシップ」という言葉。これはずっと大事にしてきた言葉でもありますし、グループ全体に浸透してきていますよね。「主体性を持つ」や、「新しいことに挑戦する起業家精神を持つ」など、皆さんそれぞれの解釈で日々の業務に落とし込んでくれています。これは素晴らしいことです。
一方、後半の「世界を元気に」についてはどうでしょう。実は私自身も含めて、これまであまり深く掘り下げてこなかった領域なんです。「アントレプレナーシップ」はあくまで手段であって、本当の目的は「世界を元気に」することにあるはず。
なのに、「世界って誰?」「元気って何?」と聞かれると、意外とみんな答えがふわっとしているのではないでしょうか。
35期を終え、次のステージへ向かう今だからこそ、この目的の部分の解像度を上げたいと思っています。
そこでまずは皆さんにとっての「世界を元気に」とは誰をどうすることなのか、ぜひ教えてもらえますか?
宮城
私が考える「世界」は、仕事で関わる身近な人たちです。マネージャーとしてまずはチームのメンバー、そして社外の仕事相手です。その人たちにとっての「元気」な状態とは何だろうと考えた時に、単に明るいということではなくて、仕事と自分自身をポジティブに紐づけられている状態かなと思いました。
仕事は大変なこともありますが、「やりたくないな」とネガティブになるのではなくて、「この経験があるからステップアップできる」とか「今の仕事は私生活にもプラスになっている」とか、仕事を自分にとってのメリットと捉えて前向きになれている。そういう状態をつくりたいと考えています。
渡邉
私もその考えに近いです。1つは、一緒に仕事をしている人たち。今はグループ会社や制作会社、メディアの方など関わる人が本当に多いので、その関係者全員が前向きに仕事に取り組めるようにしたいです。
そしてもう1つは、私が営業として向き合っているクライアントです。「元気」の定義としては、営業なのでクライアント企業の予算達成に貢献することです。結果としてクライアントの「元気」につながると思っています。
髙木
私も2つあります。1つ目は、開発チームのメンバーです。エンジニアといっても色々な職種の方がいるので、それぞれの職種に合ったやりがいを感じながら、チームとして楽しんで仕事に向き合ってもらえるようにしたいです。
2つ目はクライアントです。私たちが提供しているシステムやデータを活用し、クライアントの利益が向上することで元気になってもらうということが、私の目指す世界です。
神埜
皆さん、私と感覚がとても近いですね。そして今皆さんが発言してくれたことすべて、とても素晴らしいと思います!「世界」というと、つい海の向こうの誰かとか、未来のまだ見ぬ人々といった遠い存在をイメージしがちですよね。でも、私たちが元気にすべき「世界」の一番最小の単位は、まず「自分自身」なんだと思います。
自分が元気でなければ、他人を元気にすることなんてできません。その次に来るのが、隣の席の同僚やチームメンバー、そしてクライアントや取引先、家族。
いきなり遠くを照らすことはできないけれど、自分の手の届く範囲にいる「パートナー」や「仲間」とも呼べる関係者を元気にすることなら、今日からでもできる。この身近な場所こそが、私たちにとっての「世界」の始まりなんだと考えています。
グループには2,000人もの従業員がいますが、私一人ではみんなを一斉に元気にはできない。けれど、私が日常的に接しているボードメンバーの数十人を元気にすることで、そのボードメンバーたちがそれぞれのメンバーを元気にし、それがチーム全体に広がって・・・と、熱量が伝播していってほしいなと思っています。
神埜
「世界」や「元気に」については皆さんの考えを聞くことができました。私たちはBtoBのサービスを展開しているので、ここで「顧客企業」に焦点を当てて考えてみましょう。
顧客企業にとっての「元気」とは何か。
それはシンプルに言えば、「企業価値が上がる」こと。
もちろん、「企業価値」と一言で言っても、その構成要素は財務面だけではありません。戦略や組織・人材、ガバナンス、サステナビリティなど、本当に多くの要素が組み合わさって創られるものです。
ただ、今回は事業サイドの現場において、分かりやすく重要な1つの要素として、あえて「営業利益」にフォーカスして話したいと思います。
企業価値を上げる要素としては「最終利益」が評価に大きく寄与しますが、我々の事業支援によって直接的に貢献できるのは、顧客の「営業利益」の向上だからです。
ポイントは、単なる「売上規模」の追求だけでなく、より質の高い「営業利益」を重視するということです。
宮城
営業利益は確かに顧客企業の成長には不可欠ですが、私たちの主戦場であるデジタルマーケティング支援の枠組みだけだと、顧客の「営業利益」の部分にまでコミットするのは、ハードルが高いようにも感じます。
神埜
そうですよね。これまでの私たちのビジネスは、デジタルマーケティングを軸にクライアントの売上や売上総利益を上げる支援が中心でした。しかし、いくら売上が上がっても、コストが膨らめば、会社の営業利益は「元気」にはなりません。新しい投資もできないし、人材への還元もできない。つまり、持続可能な未来をつくりづらいのです。
だからこそ、これからのセプテーニグループは、売上支援だけでなく、販管費の抑制や業務効率化に加え、企業に最も重要な「人的資産」のご支援を通して、クライアントの「営業利益」向上に貢献する提案をしていきたいと思っています。
そうやって営業利益という足元の元気を支えることを起点に、ゆくゆくは「クライアントの企業価値」に直結する支援ができる組織体へとシフトしていく。これがこの度の中期経営方針として発表した「ビジョン2030」で実現したいことです。
髙木
顧客企業の「経営」そのものを支援する会社に変わっていく、というイメージでしょうか。
神埜
そうです。ただ、いきなり「顧客の企業価値を上げましょう」と言われても、様々な課題に対して、1人の力、1事業の力では限界があります。だからこそ、この「ビジョン2030」を実現するためには、グループにいる多様なメンバーの力、つまりみんなの「アセット(強み)」を掛け合わせること、“シナジー”が不可欠なのです。
営業がいて、エンジニアがいて、HRのプロがいる。それぞれが自分の持ち場で、目の前の相手を「元気に」しようとする。
その個人の想いと行動が集まって初めて、グループとして大きな価値が提供できると思っています。
次に皆さん自身の想いを聞きたいと思っています。今の自分の業務を通じて、具体的にどうやって目の前の相手を「元気に」していきたいですか?
宮城
私は、組織への貢献ですね。今、マネージャーとしてメンバーを見る立場になって思うのは、かつての自分が周りにすごく助けられていたなということです。実は私、営業に異動してきた当初、「自分は絶対に営業に向いてない」と思い込んでいた時期がありました。もう辞めた方がいいのではないかって。
神埜
どうやって乗り越えたのでしょう?
宮城
色々な人に相談してみたんです。その中で、自分を仕事に合わせる努力をしてみようというアドバイスをもらい考え方が変わりました。
そうして自分なりのやり方を模索し続けてみたら、数年後になんとなく自分のスタイルが見つかり、結果的に「向いてないというのは気のせいだった」と分かりました。
神埜
誰かの言葉や関わりが、視点を変えてくれたのですね。
宮城
はい。あの時、周りの人が私を「元気」にしてくれたから、今がある。だから今は、マネージャーとしてメンバーに同じことをしてあげたい。ひとりひとりの強みを見つけてタグ付けしてあげたり、自己肯定感が上がるような関わり方をして、チームのみんなを元気にしたいなと思っています。
神埜
まさに恩送りですね。自己肯定感というのは、元気になるための重要なキーワードかもしれません。渡邉さんは営業として前線に立っている視点から、どうですか?
渡邉
営業の現場では、「効率」や「獲得件数」といった数字をシビアに求められるので、どうしてもその達成に向けて苦しい時があります。でも、だからこそ、私たちが必死に考えた提案が採用されて、結果が出た時の喜びは大きいです。数字が達成できた時はもちろんですが、担当者の方に「その提案、とてもいいですね!」とポジティブな反応をもらえた時に、この人を元気にできているのかも、と感じます。
神埜
成果が出ることで、クライアントも元気になる。目標を達成したことで、担当者の方が社内で評価されたり、ボーナスが上がったりするかもしれないし、「いつかはこのような新しいプロジェクトをやりたい」という夢が、利益を出せると叶えられるかもしれない。成果を出すことは、その人の人生を前向きにすることにつながるのだと思います。
髙木
私も似ています。今、クライアントにシステムを提供しているのですが、私がチームに入った当初は、クライアントとの信頼関係をより強固なものにするために、一から丁寧に向き合っていました。
だからこそ、まずはシステムを安定させ、運用チームとして信頼されることで元気にしたい。そして将来的には、ただシステムを提供するだけではなくて、データを可視化して利益向上につなげる提案まで踏み込みたいです。実際に使われている様子を見たりすると、私自身のモチベーションも上がりますから。
神埜
そのフィードバックこそが、私たちが受け取る「元気」ですよね。自分たちが提供した価値が、巡りめぐって「ありがとう」として返ってくる。
日々の業務の中で、目の前の担当者の顔を思い浮かべながら、「この仕事は、あの人の未来を明るくできているのだろうか?」と問い続ける。それが、私たちが目指す仕事のあり方なのだと思います。
神埜
ここまでは「目の前の人を元気にする」ことの大切さを話してきました。
一方で、ずっと「同じ相手」だけを元気にし続けていればいいかというと、そうではないと思います。それだけだと、いずれ限界が来るからです。
「今の取引先、仲間、周りの人たちだけを大切にしよう」。一見すると、それは誠実で優しい考え方のように思えるかもしれません。しかし、ビジネスの環境は常に変化しています。クライアントも、メディアも、投資家も、時代と共に求められる役割が変わっていきます。
渡邉
今いる大切なクライアントや仲間を守るためにも、環境の変化に対応できるよう、私たち自身が変化し続けないといけませんね。
神埜
そうですね。外部環境の変化は、自分たちではコントロールできません。それなのに、関わる相手を固定して閉じこもってしまえば、組織はいずれ停滞し、そこにある「元気」すら枯れてしまうでしょう。
だからこそ、私たちは「世界を広げる」必要があります。
新たなクライアント、新たなメディア、新たな投資家、そして新たな仲間。そうやって関わるステークホルダーの数や範囲を増やし、自分たちの領域を拡大し続けていくことが大切です。
ただし誤解しないでほしいのは、広げることは「今のステークホルダーとの関係を薄くすること」ではないということです。やることは、これまでと同じです。世界を広げ、そこで新しく出会った人たちに対して、これまで通り「目の前のひとりひとりを元気に」していく。
宮城
広げた先でまた深めていく。関係の密度はそのままに、関わる面積を広げていくイメージですね。
神埜
私たちの組織が大きくなり、関わる世界が広がるほど、元気にできる人の総量は確実に増えていきます。
今ある元気を守るためにも、そしてもっと多くの人を元気にするためにも。
私たちは立ち止まらず、世界、つまり元気にする対象を広げていく必要があるのです。
宮城
もっと多くの人を元気に、ですね。そのつながりで気になったのですが、神埜さんは、セプテーニグループの人たち全員が「元気」に見えていますか?
神埜
正直に言うと、「今、全員がとても元気です」という会社はたぶんないですし、それでいいと思っています。
人間だから、ずっと元気なわけではありません。同じ成果を出していても、飽きや慣れが来て、停滞して元気ではなくなる「踊り場」のような時期は誰にでもあります。だから、全員が常に元気である必要はないのです。組織全体で見て「5対5」とか「6対4」くらいのバランスでいいと思っています。その踊り場や高い壁を乗り越えたからこそ生み出される自信や経験が新しい「元気」の源でもあるからです。
それに、基本的にセプテーニグループに集まってくる人は、すごく向上心があります。「もっと効率よくしたい」「もっと新しいことをやりたい」という意欲が強いからこそ、現状に満足できなくて、自分にもっと期待して、壁にぶつかってしまうことがあるのです。つまり、元気がないのは「もっと成長したい、貢献したい」という前向きな想いの裏返しでもあるのかもしれません。
だから「全員が常に元気であること」を目指すのではなくて、「壁にぶつかってもがいている人を、周りが見つけて、元気にしていく」というサイクルをつくることが大事だと思います。
髙木
今、「元気のない人を周りが元気に」という話がありましたが、逆に「自分自身が停滞していて元気がない時」はどうすればいいんでしょうか?
どうしても落ち込んでしまう時はあると思うんです。自分が元気でないと、相手(クライアントやチーム)を元気にできない気もして・・・。
神埜
それはとても重要な視点ですね。結論から言うと、「自分が元気でないと、相手を元気にはできない」。これは必ずしもそうでないかもしれませんが、概ねそう感じます。
髙木
そうですよね・・・。でも、そういう時はどう向き合えばいいのでしょうか?
神埜
1人でなんとかしようとしないことなのだと思います。
そういう時こそ、周りに助けてもらってほしい。「弱さを見せる強さを持つ」ことが大事だと思います。弱さを見せないことの方が、実は弱い。
「今、こんな悩みがあるんだ」と相談できる関係性を社内外のネットワークで普段からつくっておくこと。自分が元気な時に誰かを助けていれば、自分が落ち込んだ時に「あの時助けてもらったから」と誰かが手を差し伸べてくれます。そして、この「一往復」から始まる“信頼関係”で結ばれたネットワークが組織全体に増えれば増えるほど、悩みや課題に対する恐怖や不安といたネガティブな気持ちが緩和され、会社もチームも個人も「元気になりやすいポジティブな環境」が組織に構築されます。その過程も踏まえ、我々のバリューである「つよく、やさしく、おもしろく。」という文化に昇華されていくと思っています。
渡邉
自分が元気であることは一番でありつつ、安心して弱さを見せられるようにするためにも、日頃のコミュニケーションや関係性が大事になってくるのですね。
神埜
そうですね。自分と関係のない人には弱さなんて見せられないですから。では、どのように関係性をつくるかというと、一番簡単なのは「共通の目的を持つこと」ですね。
普段は皆さん、自分の部署やチームの目標を追っているので、その範囲の人としか関係が生まれないかもしれません。でも視座を上げて、例えば「セプテーニグループ全体の目標」を追ってみたらどうでしょう?
渡邉
グループ全体の目標、ですか?
神埜
「追っている目標」を変えると、話し方や、話せる相手が一気に変わるのです。
視座を上げると、自分のチームだけではなく、経営陣や他の部署ともつながれます。そのように「共通の目的」を持つ仲間を広げておくことが、結果として自分が困った時に助けてくれる人を増やすことにもなりますよね。
まずは自分たちが一番元気であること。そして今のメンバー、今のクライアントといった「現在の世界」を元気にすることは大前提。その上で、さらに視座を高く持つことで、私たちはその世界の円をどんどん外側へ、そして「元気にできる総量」を増やしていく。それが、35年の歴史を持つ私たちが、次のステージで挑戦すべきことだと思っています。
「世界」とは、遠く離れた未知の場所ではなく、今ここにある「あなた」と「私」の関係性の総和なのかもしれません。「世界を元気に」。その壮大なミッションへの第一歩は、驚くほど身近な場所にありました。足元の信頼関係を深め、そこで生まれた熱を確かな「価値」へと変えていく。視座を高く持ち、共通の目的で結ばれたこの連鎖が続く限り、照らし出される「世界」の範囲はどこまでも広がっていくことでしょう。