セプテーニグループ PLAYER’S INTERVIEW

「ひねらんかい」精神が導いた、逆境の突破力

セプテーニは、幾度となく訪れた危機を「ひねらんかい」精神──知恵と工夫で突破してきた会社。今回の鼎談では、創業期からその歩みを見てきた3人が、これまでの逆境の裏側を語ります。「何をやるかより誰とやるか」という信頼、独自性を重んじる文化、若手に挑戦を託す姿勢。数字とも戦略とも異なる、セプテーニの強さの源泉が、どのように組織を支えてきたのかを紐解いていきます。

MEMBER
武藤 政之
セプテーニグループ グループ執行役員
2001年、株式会社セプテーニに中途入社。2014年に株式会社FLINTERS代表取締役社長に就任。2017年に当社グループ執行役員に就任。グループ横断の組織であるHRオフィスを管掌する。
清水 雄介
セプテーニグループ グループ副社長執行役員
2006年、株式会社セプテーニに新卒入社。営業職を経て、2014年セプテーニの執行役員に就任し、営業部門以外の領域においても統括を兼任。2018年よりグループ執行役員およびセプテーニ、Septeni Japan株式会社の代表取締役社長に就任。2024年、取締役グループ副社長執行役員就任。
上野 勇
セプテーニグループ グループ副社長執行役員(※2026年3月末退任)
1998年、株式会社サブ・アンド・リミナル(現株式会社セプテーニ・ホールディングス)入社。2004年に同社取締役 人事総務部長、2009年に専務取締役就任。2017年にグループ上席執行役員、2024年グループ副社長執行役員に就任。
「何をやるかより誰とやるか」 。価値観で結びつく仲間との信頼

今回の「逆境の突破力」というテーマを聞いて、皆さんの頭に真っ先に思い浮かぶことは何でしょうか?

武藤

「何をやるかより誰とやるか」という感覚は、グループの共通認識として持っていたのではないかなと思います。価値観で結びつき、背中を預けられる仲間たちと危機を乗り切る。そんな想いは私たちの中にあったと思います。

背中を預け合える信頼関係は、どのようにして育まれるのでしょう?

武藤

大小問わず、「この人たちとだから突破できた」という成功体験の積み重ねですね。目標を達成できた、決めたことをやり遂げられた、新しいものを創り上げられた。そうした経験が「信用」を蓄積させて、やがて「信頼」に変わっていく感覚です。特に「苦しい時を一緒に乗り越えた」という経験は、何よりも大きいと思います。

上野

私のこれまでの経験から見ても、規模や時代が変われどこの根底にあるものは変わらない。きっとこの会社にいる人の多くが、そういったマインドになっていく。これは、この会社が持つある種のマネジメントシステムなのだと思いますね。

元々こういうマインドの人がセプテーニに来るわけではなくて、入ってからそのようになっていくのですか?

上野

もちろん、採用の段階で我々が何十年も大切にしてきた「価値観が合う」というフィルターはありますが、入社時点では、実際にどのような人かわかりませんから。入社後の環境が、そうした価値観を育んでいくのでしょう。

「ひねらんかい」 が導く独自性。社員が「人が好き」と答える本当の意味

清水

まさに「誰とやるか」に深くつながる価値観として「ひねらんかい」があると思っています。
「ひねらんかい」とは、関西弁で「知恵を出そう、工夫しよう」という意味で、創業者の七村さんが提唱され、今も社是としてずっと大切にしている考え方です。これに、セプテーニらしさが最も凝縮されていると感じています。
どういうことかというと、セプテーニは「独自性」を求められる会社なんです。「人と違うことをやる」ことに価値を置く。採用でも「価値観が合うか」を重視するのも、突き詰めれば、この「独自性を持っている人」かどうかを見ているのだと思います。
そういう人は、逆境に直面した時にも、自信を持って向き合い、突破できる力を持っている。
現在では「アントレプレナーシップ」という言葉にも似た意味合いがあるかもしれませんが、まさに「自分は自分であっていい」という価値観にも通じます。その上で、現状に留まることを良しとせず、変化し続け、前進していく。
こうして私たちは、普通や一般的と言われるものから意図的に距離を取ることで、自分たちの存在価値を創り上げてきました。

なるほど。
「SEPTENI STORY」の取材では、メンバーから役員、アルムナイまで様々な立場の方々に話を伺い、「セプテーニのどこが好き?」という問いを何度かさせてもらいました。すると皆さん本当に、何も示し合わせていないのにもかかわらず、「人ですよね」とか、「一緒にやっている仲間」という答えがすごく多くて。

清水

そうですよね。私も同じです。
「人が好き」って、どういうことなのかをもう少し深く考えると「自分の色を持っている人」なんだと思うんです。それが「独自性」であり、「ひねっている人」であり、「アントレプレナーシップを持っている人」とも言える。
そして、もう1つ大事なのは「利己的でない」こと。
自分のことだけを考えるのではなく、仲間を尊重できる。だからこそ、武藤さんが最初に言った「何をやるかより誰とやるか」という言葉に、私たちの価値観や行動様式が集約されているんです。

「逆境は日常」 。困難をおもしろがるDNA。

これまでのお話で、セプテーニらしさの源泉が「ひねらんかい精神」にあり、それが仲間との強い結びつきを生んでいることが見えてきました。
とはいえ、グループの歴史の中では、本当に苦しい時期もあったかと思います。皆さんにとって、一番の「どん底」「逆境」はいつでしたか?

上野

そうですねぇ・・・。

武藤

「逆境」ですか・・・。

一同:(悩む)

武藤

正直、いつがそうだったんだろうと振り返ると、逆境は日常なんじゃないかって気がするんですよね。
ただ私たちは、平時より有事の時にむしろ楽しんで、「さあやろうか」と奮い立つ人たちが多い。そんな組織だと思います。

清水

あと、私たちの目線は基本的に未来に向いているんですよ。
過去に、その時々で大変だったことはもちろんあるんですが、喉元を過ぎるとそのつらさを忘れてしまうというか、これ!と思い浮かぶものがないですね(笑)。

武藤

納得しかないです(笑)。

清水

過去・現在・未来でいうと、やはり未来への意識が強い。七村さんがよく言っていた「今よりもこれからを思考する」という姿勢が、セプテーニの良さの1つなんだと思います。

なるほど!好調に見える時でも壁があったり、停滞期でもやる気に燃えていたり、必ずしも数字と連動するとは限らないのですね。例えば、2016年をピークに、2017年、18年と業績が停滞した時期はいかがでしたか?

武藤

逆境は日常といえど、たしかにその3年間はきつかったですね。これまでとはまた種類の違う、言いようのない厳しさがありました。

上野

なかなか先が見えない中で、なんとか突破口を見つけようと、ずっともがいていた感覚でしたね。

清水

ちょうどそのタイミングでセプテーニの代表取締役を佐藤光紀さんから神埜雄一さんと私が引き継ぎました。
業績が伸び悩む中で、事業や組織の運営の仕方を変えていくのはなかなか大変でしたが、振り返ってみると、やっぱり人として、事業として、企業としての成長痛だったと思っています。その苦しかったと想起される3年間も、必要な種蒔きの期間だったのかなと。そうした経験をするからこそ、未来の種、人が育つ。順風満帆なところで、人は大きく育たないと思うんですよ。
痛みやつらさで後退してしまうのかというとそんなことは1ミリもなく、確実に前進し今の成長につながっているんです。苦しさをちゃんと正面から捉えて咀嚼し、次の力に変えていけるというのが、私たちの良さかもしれないですね。

「思い切りチャレンジしてほしい」 。この信頼が、身の丈以上の挑戦を生む。

皆さんのお話からは「信頼」「信じる力」という言葉が度々出てきますが、特にセプテーニは、若い世代に早くから大きな裁量を与え、挑戦させる文化が特徴的だと感じます。

清水

そうですね。その「挑戦させる」という点に、私たちのマネジメントの考え方やスタンスがよく表れていると思います。
ただ、その人が何かができるようになったから任せる、という順序ではありません。むしろ、今持っている実力以上の、少し身の丈に合わない挑戦ができる環境を用意することが、私たちのグループにとって最適なスタイルだと確信しています。
2025年は組織の機動力を上げるため、あえて部門サイズを小さくするチャレンジをしました。そうしたことで資格とポジションが一致していない人も一定数発生したのですが、結果としてとても手応えを感じています。
難しいと言いながらも、みんな前を向いて走ってくれました。できることを中心にやってもらうのではなく、少し背伸びした挑戦の機会があった方が、成長したいという思いが引き出されるのだと思います。

武藤

そうした挑戦ができるのも、根底に「心理的安全性」が担保されているからかもしれませんね。「ダメだったら次で挽回すればいいじゃないか」という切り替えができる文化がある。1つの失敗に固執せず、変化に対応していける土壌があると思います。

上野

世の中で言われる「心理的安全性」は、どちらかというと「何を言っても怒られない」といった、少し守りの意味合いで使われがちです。でも、私たちが大切にしているのは、もっと攻めの姿勢を促すものですね。

武藤

後ろで守ってくれている人がいるからこそ、安心して挑戦できる、失敗を恐れず踏み出せる。それがセプテーニにおける心理的安全性だと思います。
私自身、20代で初めて役員になった時に、上野さんから言われて今でも支えになっているのが「まずは思い切りチャレンジしてほしい」という言葉です。どんなトラブルが起きても自分が解決するから、現場で思い切りやってこい、と。その言葉は、本当に心強かったですね。

上野さん、その言葉をかけたことは覚えていらっしゃいますか?

上野

いや、覚えていないですね(笑)。

一同:(笑)

上野

ただ、もし私がそう言ったのだとしたら、武藤さんには全力で走ってもらいたかったんでしょうね。速く走れば、その分リスクの量も増える。でも、そんなことは気にせず、持てる能力を最大限に発揮してほしい、という想いがあったのかもしれません。美化しすぎかもしれませんが(笑)。

清水

上野さんや武藤さんのような先輩たちが、「大丈夫だ、できる」と常に背中を押し続けてくれた。だからこそ私たちも、「もっと動いていいんだ」「もっとやれるんだ」と前に進むことができたんです。その「信じる力」が、次の挑戦を生み、人を育て、結果としてグループ全体の突破力になっているのだと思います。

なぜ、セプテーニは人を信じられるのか?すべての根源にある「性善説」という哲学。

これまでのお話で、仲間を信じる力が、身の丈以上の挑戦を促し、それが個人の成長とグループの突破力につながっているという、素晴らしい循環が見えてきました。その「信じる力」は、一体どこから来ているのでしょうか。

清水

創業の頃からの価値観・文化である「ひねらんかい」という言葉の根底にある、「性善説」の考えが大きいと思います。
セプテーニの土台は、強烈なまでの性善説で出来上がっています。「性善説」を成り立たせるために最も必要な力は、理屈抜きの「信じる力」。もし、この信じる力が少しでも欠けてしまうと、組織はどうなるか。罰則規定をつくり、分厚いマニュアルを用意し、「この通りにやらなければダメだ」という減点方式の評価制度を導入するでしょう。でも、私たちは真逆なんです。
「性善説」という土台があるからこそ、「ひねらんかい」という独自性を推奨できる。なぜなら、独自性を追求すれば、当然失敗もするからです。前例も正解もない世界に飛び込むわけですから。でも、私たちには失敗しても立ち上がれる文化がある。だからこそ、独自性を持って戦う、主体的に動く、ということが、先天的にも後天的にも循環できるモデルになっている。
根っこにあるのは、「人間なんだから、人を信じた方がかっこよくないか?美しいんじゃないか?」という、極めてシンプルな価値観です。人を疑ってどうするんだ、と。裏切られたら、その時はその時。これは理屈ではなく、もはや私たちのアイデンティティなんです。

なるほど。事業や戦略は時代に合わせて変化しても、そのアイデンティティは変わらない、ということですね。

清水

はい。変化を楽しむ一方で、「変わらない、変えない」ものがある。これが、私たちの価値観だと思っています。世の中は変わるし、ビジネスの中身も変えていかなければならない。事業の内容や、結果としての企業価値など、意図的に変えていくものはたくさんあります。でも、セプテーニは「意図的に変えないもの」、「らしさ」を大事にしてきた。その「らしさ」とは、結局のところ主体性やオリジナリティですよね。

未来のセプテーニを担う仲間たちへ。地図を捨て、コンパスを手に進め。

これからグループの未来を担っていく社員の皆さんが「ひねらんかい精神」を受け継いで逆境を突破していくために、どんなことを心に留めておいてほしいですか。

清水

一番伝えたいのは、「人を信じる」ということです。そして、人を信じることができる人とは、自分の中に揺るぎない軸がある人です。それは、結果的に自分を強くあり続けさせることにつながります。
その上で目指してほしいのは、誰かに言われたからやるのではなく、「自由」です。セプテーニという舞台で、自由に踊って、挑戦して、自分だけの未来を描いてほしい。その経験が人生に必要な1ページになるなら、これほど素晴らしい舞台はありません。だから、まずは人を信じてみてほしい。そして、人を信じられるくらい、強く魅力的な自分でいてほしいと思っています。

武藤

私は、「得意なことに集中してほしい」と伝えたいです。他人と比較して「自分はこれができない」と悲観的になるのではなく、自分の得意なことにエネルギーを注いでほしい。あなたは不得意な分野でも、あなたの隣には、それが得意な仲間がいます。
これだけ個性豊かなタレントが集まっているのですから、ひとりひとりが自分の得意なことに集中し、個性を尖らせていく。その集合体が、セプテーニという唯一無二の個性になるのだと思います。

上野

私からは、「地図ではなく『座標軸』と『コンパス』を持ってほしい」という言葉を贈ります。皆さんに与えられるのは、細かくルートが描かれた「地図(方法論)」ではありません。目指すべき方向を示す「座標軸」と、進むべき方角を知るための「コンパス」だけです。そこからどんなルートを、どんな速度で進むのか。それは、皆さん自身が考え、最適化し続けていくものです。
それが、私たちが考える「主体的である」ということの源泉です。セプテーニは、それを「大変だ」と感じるのではなく、「楽しい」と思える風土を持った会社です。法律もルールもまだ十分に確立されていなかった新しい産業の中で私たちが生き残り、成長できているのは、まさにその主体的な所作があったからに他なりません。皆さんにも、ぜひそのプロセスを楽しんでもらえたら嬉しいですね。

3人の言葉から浮かび上がったのは、戦略や仕組みよりも、仲間を信じ、支え合い、ひねり続ける姿勢こそがセプテーニを動かし、逆境を乗り越えてきたという事実でした。危機を“日常”と受け止めながら前に進むその強さは、これからの世代にも確かなバトンとして受け継がれていくはずです。