セプテーニグループの物語は、「ひとりひとりの個性」と共に歩んできた軌跡でもあります。なぜ、これほどまでに一貫して「個」を尊重し、その多様性を力に変えようとするのか。そこにはどのような思想があり、どんな「強さの秘密」が隠されているのか。
SEPTENI STORY編集部が、その源流から未来までをたどり、強さの秘密を紐解きます。
セプテーニグループでは、「あらゆる人権を尊重し、多様性を認め合い、ひとりひとりの強みが発揮される働き方を実現します」をDEI方針に掲げ、様々な背景をもった社員それぞれが、自律した価値ある仕事で業績に貢献することが、グループの持続的発展につながると考えています。
この考え方は、現代社会においては特別感のあるものではないかもしれませんが、「セプテーニグループは創業当初からひとりひとりの個性を大切にしてきた会社なんだ」と創業者の七村さんはいいます。
セプテーニグループの成長において、なぜ「個性と多様性」が大切なのか。
また、どうやってこれを実現してきているのか。
SEPTENI STORY編集部では、これまでの軌跡をたどりながら、「強さの秘密を探る旅」に出ることにしました。
まずは、セプテーニグループがこれまでどのように「個性」を尊重してきたかについて探ります。
創業まもなく制定された社是「ひねらんかい(=知恵を出そう、工夫しよう)」。これは、困難を前にしても、社員自ら考え、動き、道を見つけていくことを推奨するということを意味しています。
また、2005年に発表された「経営方針7原則『Septeni Way』」の一つには「Originality」が掲げられ、「他社と差別化を図り、卓越した利益をあげるためには、オリジナリティ溢れる事業を展開することが必須である」と記されています。そして、その“オリジナリティ溢れる事業”のアイデアを生み出すのはいつの時代も社員だという想いが込められているのを感じます。
2016年、CSR活動開始にあたり企業理念と行動規範の整理を行い、「Septeni Way」を行動規範と改めると共に、「Originality」に代わり新たに「Diversity」を加えました。
『Septeni Way』の中には「Partnership」も掲げられていました。「会社を構成する個人それぞれが経営者です。一人ひとりがパーツとして与えられた業務をこなすのではなく、『何を実現したいのかを考え、そのためにどうしたら良いかを模索し、実行する』という一連のプロセスをイメージしながら仕事をします。」の記載の通り、多様な一人ひとりの集合体がセプテーニグループであることが、この当時から示されています。
もちろんこれらの言葉を掲げるだけではありません。
社内表彰制度の一つに「懸賞論文」を設け、それぞれの時代に合わせた「会社の未来」に関するテーマが設定され、自らができること・すべきことを論文形式で募集し表彰してきました。
若手からベテランまで幅広く意見を募り、「今のセプテーニグループにはこれが足りない。更なる成長のためには〇〇をすべきだ」といった提言を通じて、新たな事業を生み出したり仕組み・制度をアップデートしたりしてきたのです。
社員主導でセプテーニをより良くしていくための取り組みは、各グループ会社でも脈々と受け継がれています。(※)
こうした仕組みに対し、中途社員の方は「参加制約の少なさ」に驚いているそうです。
入社からの経過年数などに関係なく、誰もが当事者のひとりとして、より会社を良くするための行動を起こすことが期待されている、だからこそ提言しやすい仕組みが整っていったのですね。
こうした取り組みの結果、2024年には「風通しの良い企業ランキング」にてセプテーニグループが上位3社のうち2社を占めた、ということもありました。
2015年には理念体系が改定され、現在のミッションである「ひとりひとりのアントレプレナーシップで世界を元気に」が掲げられました。ここでもあえて「ひとりひとりの」としていることも、“それぞれの立場の社員のアイデアと個性を尊重する、それこそがセプテーニグループの強みの源泉であるから”という一貫した姿勢がうかがえます。
(株)セプテーニでは、「経営への提言」や「Septeni Summit」など独自施策として導入してきた。
「経営への提言」は、年1回、部署や世代の垣根を越えて経営陣に提言できる機会として2020年まで実施し、「インフルエンザの社内予防接種」などがここでの提案を機に導入された。「Septeni Summit」は、事業・組織を前進、発展させるための打ち手を議論し、決議する場として年に1回開催している。
| 目的 | 経営戦略の推進・事業機会の獲得・事業課題の解決 |
|---|---|
| 評価基準 | 勝ち筋・実現可能性・事業インパクト |
| ゴール | 「何を」「誰が」「どうする」具体的な決定 |
| 採用事例 |
・デザイン推進室を創設(後に「デザイン領域」として部門化) 顧客企業への提案において、デザイン思考を取り入れることによって、新たな機会創出や課題解決に導いている。 ・広告炎上防止委員会設置 広告表現について、研修などを通じた教育体制の構築や「自社独自の広告基準」および、広告表現について相談できる「コミュニティ」の整備を行うなど、広告表現の炎上防止フローを構築。 |
セプテーニグループの「個性を重視する」という考え方は、単に“良い提案を反映し会社をアップデートする”ということに留まりません。
「それぞれの社員が持つ能力の最大化を図る上で、『個性』と『環境』の相性が大きく影響するんです」そう語るのは、長年にわたりセプテーニグループの人材育成を担っているグループ副社長執行役員(※2026年3月末退任)の上野勇さん。
セプテーニグループでは、人材は「育てる」ではなく、「職場で良質な経験を重ねることで“育つ”」と定義しています。
そして、個々人が生まれ持った個性(P:Personality)と、その人を取り巻く環境(E:Environment)の相互作用が成長(G:Growth)に影響を及ぼすとして、その人材育成の考え方を「育成方程式(G=P×E)」として概念化しています。
この考え方に基づき、実際に従業員個々の「成長」及び「個性と環境の相性」を定量化し、「採用~オンボーディング~育成」を一貫して設計した人事施策(HRバリューチェーン)として構築しているのです。
実施した人事施策の結果は同データベースに蓄積され、運用の継続に伴いPDCAが回ることで、施策の精度が持続的に向上する仕組みとなっています。
このように、テクノロジーを駆使しながらそれぞれの個性を開花させ、能力を最大化させる「効率的かつ再現性の高い人材育成」を実現しているのです。
こうした仕組みを通じて、「個性」を尊重し、また会社としてひとりひとりが「個性」を開花できるよう後押ししていることがわかります。
セプテーニの採用活動では、採用候補者の「個性」や「選考時のデータ」といった情報から、入社後の活躍可能性を算出する予測モデルを開発し、選考の参考情報として活用しています。
データを参考にアセスメントを行うことで、採用担当者の主観や感覚のみに依存することなく、定量的な情報を根拠とした判断が可能となり、当社と採用候補者のマッチング精度を高めることにつながっています。
また、入社後のパフォーマンスに「志望動機」や「自己PR」は大きな相関がないので、面接時の設問から撤廃しており、応募者の就活対策の負荷軽減にもつながっているのです。

続いて、セプテーニグループが「ひとりひとりが安心して活躍できる場づくり」にどのように取り組んでいるのか探っていきたいと思います。
現代社会において多様性が求められるようになった背景
そもそも現在、社会的に「多様性」が重視されている背景には、従来の日本社会において「均一性」「統一性」を重視してきたことがあります。こうした組織では、「暗黙の前提」が共有され、意見の統合がしやすいことから、実行スピードを競争力とする社会においては、非常に有効だと考えられていました。しかし、「画一的な組織」の場合、経験や考え方が似ている人が集まってしまう傾向があり、これは、変化の激しい現代社会において命取りとなる可能性があるのです。
一方、様々なバックグラウンドを持つ人々が集まる「多様な組織」では、多角的な視点でアイデアが生まれイノベーションが起きやすいというメリットがあります。新型コロナウイルスの流行のようなこれまで経験したことのない課題への対応力が競争力となる現代社会においては、多様性のある組織が重視されているのです。
セプテーニグループの「ダイバーシティ推進」の第一歩は、2010年の女性の働き方や育児支援、全社員のワークライフバランス向上を目的とした部門横断プロジェクト「hug-kumi(はぐくみ)委員会(※)」の発足から始まっています。
それまでは、“女性”という性別を理由に特別待遇をしないことが公平だと考えていました。実際にセプテーニグループでは、性別によって機会が制限されることはありません。しかし、女性には“出産”という性別固有のライフイベントが発生する可能性があること、また、それ故のハンディキャップを潜在的に抱えていることを認識する必要があるという考え方に改め、そのハンディキャップを最小限に抑え、性別を超えてフェアに成長および評価される環境整備を推進する方向性に舵を切ったのです。
【※hug-kumi委員会】
2011年に発足した女性の働き方や育児支援、全社員のワークライフバランス向上を目的とした社長を委員長とする部門横断プロジェクト。ベビーシッター利用助成制度や妊娠中の時差通勤、婦人科検診などを導入しました。3代目社長の佐藤さんが委員長をつとめ、会社として積極的にダイバーシティを推進し、競争力につなげていくことが繰り返し発信されました。
過去のインタビューで、「hug-kumi委員会」のメンバーだったFLINTERS BASE取締役の遠藤廣志さんは、当時を振り返りこのように語っています。
「当時のセプテーニグループは非常にハードな働き方をするメンバーが多く、女性社員から“この会社で働きながら結婚・出産するイメージが持てない”という声が多く上がっていました。実際、今のように『成果と時短の両立』という考え方は浸透しておらず、フレックスタイム制度は導入前、パパ社員は一定数いるものの、ママ社員はかなりのマイノリティ、そんな状況だったと思います。
画一的な働き方で成果を出してきた一方、組織の拡大や社員のライフステージの変化などによって、社員全員が同じ働き方をすることに限界が見えてきたタイミングでした。」
そこから、「安心して働ける」かつ「活躍できる」環境の実現に向け、「成果と時短の両立」の啓発や、フレックスタイム制度や在宅勤務制度を導入するなどの多様な働き方の推進をしてきました。柔軟に働けるようになったことで、育児を理由に時短勤務を選択せざるを得ないなど、働くことを不本意に制限されてしまう状況を減らすことにもつながったのです。
また、次世代女性管理職候補の育成を目的とした手挙げの選抜型の能力開発プログラム「女性リーダー育成塾」および「WIL塾」を開始し、問題解決・経営戦略など実践的なビジネススキル習得のための演習型プログラムが実施されました。その後、本プログラムの参加者をはじめ多くの女性社員が管理職に登用され、2015年当時10.9%だった女性管理職比率は、2025年12月には28.3%と大きく向上しています。
わずか10年足らずという短期間で、女性管理職比率がここまで向上したというのは、まさに劇的な変化で、これは単なる数字の改善にとどまらず、「多様性」に対する組織の考え方や個々人の意識が大きく変わったと言えるでしょう。
※2 2022年までは10月1日時点、国内主要会社を対象に集計
※3 2023年以降は12月末時点、国内グループ会社を対象に集計
最近では、女性の健康課題への対応として、生理痛や生理不順、PMSといった不調をケアする低用量ピルのオンライン処方サービスの福利厚生を導入したり、男性育休の取得率向上に向けて情報整理や発信を積極的に実施するなど、多様な人が安心して働き、個々のパフォーマンスを最大化することを目指し、環境整備を拡充しています。
これまでの旅で、セプテーニグループが「個性」を尊重し(第1章)、「個の成長」を科学的に支援していること(第2章)、また、多様なひとりひとりが安心して活躍できる場づくりの軌跡(第3章)をたどってきました。 しかし、素晴らしい個性を持つ人材が集まり、多様なチームが生まれたとしても、それだけでは「強み」にはなりません。社員ひとりひとりが安心して自分の意見を述べ、他者の異なる意見に耳を傾けられる環境があって初めて、多様性はイノベーションの源泉となるのだと思います。
創業者の七村さんは、セプテーニグループの魅力を「自由に発言できる環境があることだ」と語ります。この「強さの秘密」の核心ともいえる企業文化は、どのようにして育まれてきたのでしょうか。
■価値観がカルチャーを創る
その根幹には、創業当時から受け継がれる2つのシンプルな価値観があります。
1つはグループ各社の行動規範に採用されていた「批判より提案、君はどうしたい?」という価値観。課題に対して影で不満を言うのではなく、当事者として「自分ならこうする」という解決策を提案することが求められます。これは、役職や経験に関わらず、誰もが会社を創る主体者であるという「ひとりひとりのアントレプレナーシップ」の精神そのものです。
そしてもう1つが、「性善説」に基づいた経営です。「経営者が社員を信頼すれば、社員も会社を信頼してくれる」という考え方のもと、社員に大きな裁量権を委ねてきました。この信頼関係が、社員が失敗を恐れずに挑戦し、自らの意見を発信する勇気の源となっています。
■「心理的安全性」という土壌
この「自由に発言できる環境」は、現代の経営学でいう「心理的安全性」の高い状態と言い換えることができるでしょう。心理的安全性とは、「この組織では、自分の考えや気持ちを安心して表明できる」と信じられる状態のことです。
心理的安全性が担保された土壌があるからこそ、社員は自分の「個性」を偽りなく表現できます。そして、多数派とは異なる意見や、一見突飛に見えるアイデアといった「多様性」から生まれる声も、排除されることなくテーブルの上に乗り、議論の活性化につながっているのだと思います。
■「さん付け文化」に宿る精神
そして、その文化を象徴するのが「さん付け文化」です。 セプテーニグループでは、社長や役員も含め、役職名ではなく「〇〇さん」と呼び合います。これは単なる慣習ではありません。役職という鎧を脱ぎ、ひとりの人間として対等な立場で対話しようという意思の表れです。 新入社員が代表取締役に対して「神埜さん、この点について質問です」と気軽に声をかけられる。このフラットなコミュニケーションが、意見交換のハードルを劇的に下げ、「自由に発言できる環境」を日々つくり上げているのだと思います。
「批判より提案」という当事者意識を促す価値観。 「性善説」という信頼のベース。 心理的安全性とフラットな関係性を象徴する「さん付け文化」。
これらが幾重にも重なり合うことで、セプテーニグループの「個性と多様性」は、お題目で終わることなく、企業の成長を牽引する本物の「強み」へと昇華されているのです。
「つよく、やさしく、おもしろく。」
これはセプテーニグループのロゴのコンセプトでもあり、バリューにも採用されている言葉です。そして、今回の「強さの秘密を探る旅」がたどり着いた答えそのものでした。
この旅で見てきたのは、 ひとりひとりのアントレプレナーシップが生み出す「つよさ」。 互いの違いを受け入れる「やさしさ」。 そして、多様な個性が交わることで生まれる「おもしろさ」です。
これらがバラバラに存在するのではなく、互いに影響し合いながら、セプテーニグループ固有の大きな「強み」を形作っているのです。そしてそれは「個性を尖らせること」と「多様性を受け入れること」は、決して矛盾しないという確信の中にありました。
グループ代表の神埜さんは、これからのセプテーニグループについてこう語っています。
「みんなでひとつの目標を達成できる、これまで以上に強いチームにしていきたいと思っています。ひとつの目標を達成するためにライバル意識を持ちながら、それぞれが個性を磨き、時にはぶつかり合ったりしながらも成長できる集団が良いなと。ひとりひとりの強みを掛け合わせて、これが仲間なんだという体験と実績を生み出していく。そんなグループをつくっていきたいと考えています。」
さて、あなたはこのチームの中で、どんな「つよさ」と「やさしさ」と「おもしろさ」を発揮しますか?
その掛け算の先に、きっとまだ見ぬ未来が待っています。