SEPTENI GROUP DNA

民主化されたアントレプレナーシップ。この言葉がいつ生まれ、どのように広がってきたのか。その起源をたどる

セプテーニグループの歴史と未来を語る上で欠かせないキーワードのひとつである「アントレプレナーシップ」。この言葉がいつ生まれ、どのように広がってきたのか。様々な資料や記録、そして当事者たちの声をヒントに、SEPTENI STORY編集部がその起源をたどりました。“コントロール可能な資源を超越して機会を追求し続ける”セプテーニグループならではの文化の背景を共に探りましょう。

第1章

アントレプレナーシップの起源

「そもそもアントレプレナーシップって何?いつ生まれたの?」
セプテーニグループにいると、当たり前のように耳にする「アントレプレナーシップ」という言葉。ストレートに「起業家精神」という意味合いだけでなく、ハーバード・ビジネススクールにおける定義「コントロール可能な資源を超越して、機会を追求する」といった文脈で用いられることも多いようですが、はっきりと説明できない方も多いのではないでしょうか。
というわけで、あらためまして、SEPTENI STORY編集部です。
今回はこの言葉の来歴を探るために、「アントレプレナーシップの起源を探る旅」に出てみることにしました。

言葉が使われるはるか前。
創業当時からの精神にも、
それはやどっていた。

調べてみると、この言葉が社内で使われ始めたのは2010年代に入ってから。2011年頃に採用サイトやイベントで見られるようになり、2013年には株主報告書に初出。2014年にはコーポレートスローガンに、翌2015年にはミッションの中に正式に掲げられていました。
けれど、資料をたどるうちに気づいたのです。
その精神は、もっと以前からこの会社の中に息づいていたことを。

創業当初の1996年頃、当時の主力事業だった就職情報誌が売れなくなったとき、創業者の七村さんたち経営陣は「何かを捨てなければ、新しいものは生まれない」と事業を思いきって転換しました。

クライアントの声を聞き、「求人票らくらくシステム(=求人票フォーマットの統一・変換サービス)」を自ら生み出したのです。まさに、アントレプレナーシップを体現する行動そのものではないでしょうか。
当時の懸賞論文の中でも「変わろうとする力=挑戦、これがセプテーニ文化」と記されていました。後に社是となる「ひねらんかい(=知恵を出そう、工夫しよう)」もこの時期に誕生しました。
困難を前にしても、自ら考え、動き、道を見つけていく。
後に言語化されるアントレプレナーシップとは、セプテーニグループが創業当初から大切に育んできた精神そのものなのでした。

編集部MEMO
「求人票らくらくシステム」について

1990年代半ば、求人媒体ごとに様式が異なる“バラバラの求人票”は、企業・代理店・媒体のあいだで大きな非効率を生んでいた。そこでセプテーニは、各社フォーマットを受け取り、必要項目を正規化し、所定様式へ統一・変換して返す業務フローを構築。
紙が中心だった当時、人的作業で発生していた照合作業や再入力を省き、掲載スピードと正確性を高めた革新的なこのアイデアは、ニッチながら確かな収益源となり、同時に「情報を整え、流通を最適化する」ケイパビリティを社内に蓄積。
後のインターネット広告・データドリブン事業へとつながる、セプテーニの“価値創造スタイルの原型”とも言えるソリューションだ。

第2章

正解を会社が定義しない

さらに調査を進め、経営陣へのヒアリングをする中で、このような言葉が交わされていました。
「アントレプレナーシップとは、“今ある資源を超越して機会を追求する”ことだと思うが、会社が意味を定義しすぎないことが大事。みんなが自分なりに“これが自分のアントレプレナーシップ”だと考えられるようにしたい。」
この言葉に出会った瞬間、創業期から受け継がれる「ひねらんかい」や「性善説経営」の思想とぴったり重なるように感じました。
“定義しすぎない”という方針は、“考え続ける余地を残す”ということ。誰かが正解を決めるのではなく、ひとりひとりが自分の体験の中で意味を見つけていく。この余白が、セプテーニグループらしさを生み出してきたのだと感じました。

誰の心にもある
好奇心の種
育てること。

過去の文献や関係者へのインタビューの中でも、その思想を裏づけるように同様の意味合いの言葉が数多く登場します。
「任せる」「信じて待つ」「実践の中で成長を促す」。
社員を細かく管理するのではなく、信頼して任せる。結果だけでなく、挑戦の過程を評価する。この実践の積み重ねが、アントレプレナーシップの定義を形づくっていきました。
セプテーニグループにおけるアントレプレナーシップとは、特別な才能のある人にだけ宿る“火種”ではなく、誰の心にもある“好奇心の種”を育てること。「会社が人をつくるのではなく、人が会社をつくる」という価値観のもとで、個人の発想や行動が尊重される文化が、自然とその言葉の意味を広げていきました。 挑戦とは、事業を興すことだけではない。与えられた役割の中で新しい問いを立てること、チームをより良くするために一歩踏み出すこと、現場で小さな工夫を積み重ねること——。それら一つひとつが、“資源を超越して機会を追求する”というアントレプレナーシップの実践なのです。
このようにして、セプテーニグループのアントレプレナーシップは、人のふるまいそのものとして育まれていったのでした。

公式noteで連載中の「Colors of Your Entrepreneurship」は、キャリアストーリーを振り返りながら、アントレプレナーシップとは何かを問うインタビュー企画。ここでも様々な解釈でアントレプレナーシップが語られている。
https://note.com/hashtag/ColorsofYourEntrepreneurship

編集部MEMO
「ハーバードにおけるアントレプレナーシップの定義」について

ハーバード・ビジネススクールでは、アントレプレナーシップを「コントロール可能な資源を超越して、機会を追求すること」と定義している。つまり、限られたヒト・モノ・カネの範囲を超え、必要な資源を動員しながら新しい価値を生み出そうとする行為そのものを指す。
そこでは、革新的な製品開発や新しいビジネスモデルの創出、既存価値の再定義など、あらゆる挑戦が「機会」とみなされる。重要なのは、十分な資源が揃ってから動くのではなく、不確実性の中でリスクを管理し、創意と工夫で前に進む姿勢である。この定義は、特定の創業者やスタートアップだけでなく、大企業の中にも起業家的行動を見出そうとするものであり、「資源を超越して機会を追求する」という精神は、セプテーニグループが掲げるアントレプレナーシップの理念とも深く響き合っている。
参考:https://dhbr.diamond.jp/articles/-/1947

ハーバード・ビジネススクールの定義

第3章

誰のものでもあるという精神

セプテーニグループの歴史をたどってみると、アントレプレナーシップが少しずつ“みんなのもの”になっていく過程が見えてきます。
1990年代半ば、社員が20名を超えた頃。組織の成長と共に、個々の距離が広がり、会社に停滞感が生まれた時期がありました。そのとき七村さんが打ち出したのが「出戻り自由」という方針です。
「辞めても、また戻ってきたいと思える会社にすればいい。」その言葉の通り、グループ外で挑戦した人が新たな経験や知見を活かして再びチャレンジできる環境が整えられ、社内に再び活気が戻りました。ひとりひとりの「人生ごと応援する」姿勢が、アントレプレナーシップの土壌を豊かにしていったのです。挑戦してもいい、離れてもいい、また戻ってきてもいい。この「自由な循環」が、社員の“自分の人生を自分で決める”覚悟と責任感を育みました。
アントレプレナーシップが「会社のための精神」ではなく、「自分の生き方としての哲学」へと広がっていった瞬間でした。

みんなが自分なりに考え、
動ける状態こそが理想。

2000年代に入ると、「実践の中で成長を促す」「信じて託す」「若い人に任せる」という言葉が社内で当たり前に聞かれるようになります。若手がプロジェクトを立ち上げ、失敗も含めて学ぶ。先輩や上司は指示ではなく支援にまわる。こうした実践が、アントレプレナーシップを“グループで共有する行動様式”として根づいていきました。
例えば、年齢や役職にかかわらず全社員が自ら事業を企画・推進できる新規事業コンテスト「gen-ten」や、同じく全社員が会社をより良くするための提言を行える「懸賞論文」といった仕組みも誕生します。
このように、起業家精神は“特別な人”のものから“すべての社員”のものへと民主化されていきました。「特定の人だけがアントレプレナーではない。みんなが自分なりに考え、動ける状態こそが理想。」社員ひとりひとりが自分の役割を一歩超えて動くことで、組織全体が活性化していく。挑戦が連鎖し、個の熱が集団の力に変わる。それが、セプテーニグループが目指してきた“民主化されたアントレプレナーシップ”の姿でした。

編集部MEMO
ひとりひとりが語る「アントレプレナーシップ」
  • やりたいことをとことんやること。好奇心のスイッチが入り「次はあれをやろう!」と突っ走ることが、結果的にアントレプレナー的な行動になっている。デライトチューブ代表取締役社長 三矢晃平
  • 自分・チームの可能性を拡張 (Expand) し、 かつ、所属する会社のアセットがあるからこそ実現できることを追及すること。AI Creation LAB代表取締役社長 田中聡志
  • “学ぶ”ということ。学習したり経験したことと情報が組み合わさってのみ、アイデアは生み出されますし、臆せず動くこともできると思う。セプテーニスポーツ&エンターテインメント取締役 住友亮介
  • 自分のアップデートを止めないこと。自分自身も商品であると自覚し、知識や表現を磨きアップデートし続けること。それをひとりひとりが意識すれば、会社はさらに強くなる。Septeni Japan 丸山留奈
  • 主体的に動くこと。主体的に動けば、挑戦する機会が多い環境に身を置くことができ、責任感をもって行動することで個人の成長(≒ 会社の成長)につながると信じています。Septeni Japan 仙波学
  • 自分事の幅を広げていくこと。他者の課題に対し「自分だったら何ができるだろう?」と考えてみる。何かをしようとすると関わる人や関心事(もしくは興味範囲、興味分野、学ぶべきこと、知りたいこと等)が増えていく。そのプロセスがアントレプレナーシップだと思う。セプテーニ・ホールディングス 星美玖
第4章

ひとりひとりの行動を育む取り組み

「ひとりひとりのアントレプレナーシップで世界を元気に」というグループ理念を通じて、日々ひとりひとりの様々な行動が生まれています。編集部で過去の記録を紐解くと、社員それぞれの小さな行動が、やがてセプテーニグループの文化の礎になっていったことに気づかされます。
例えば、社内アワードの1つだった「ひねらんかい大賞(現ONE SEPTENI LETTER)」は、当初創意工夫で壁を越えた社員、チームを巻き込んで挑戦を楽しんだ社員を讃える賞でした。それを2010年に大幅リニューアルし、日頃お世話になっている仲間に対して感謝のメッセージを送り合う全社員参加型のイベントとなりました。「あなたの〇〇な行動にいつも助けられています。」「あの時一緒に挑戦してくれたから大きな成果につなげることができました。」など、1年を振り返り、誰かの努力を感謝の言葉にして伝える。その習慣が、セプテーニグループの中に「讃え合う文化」を育てていきました。
2010年代に入ると、挑戦を「伝える」「共有する」「つなげる」ための仕組みが次々と生まれます。
「メールバトン」では、1人の社員のメッセージが別の社員に引き継がれ、仕事への想いや学びがリレーのように社内を巡りました。部署や世代を超えて心のバトンが渡されるその様子は、まるで「文化そのものが言葉になって動いている」ようです。

一方で、「gen-ten」や「懸賞論文」は、「考えを形にする挑戦」を促す仕掛けでした。gen-tenでは、立場を問わず誰もが事業のアイデアを提案できる。懸賞論文では、経営や社会に対する自分の意見を自由に書くことができる。
いずれも共通しているのは、「批判より提案」という姿勢。課題を指摘するだけでなく、どうすれば良くなるかを考える――その精神が、アントレプレナーシップの根幹にあります。
「現状を嘆くより、ひねって動こう。」「答えを待つな、自分で問いを立てよう。」こうした言葉が自然と交わされる職場では、アントレプレナーシップは刹那的なスローガンではなく、組織の血肉として鍛えられていきました。この記事を編纂する過程でも、とても印象的な言葉に出会いました。
「セプテーニグループの良さは、他者からの賛辞で挑戦が語られるところ。」
成功者を讃えるだけではなく、挑戦者を讃える。ひとりの行動が、誰かの勇気を引き出し、さらに次の挑戦へとつながっていく。そのポジティブな連鎖こそが、セプテーニのアントレプレナーシップを“特別な行為”から“日常の習慣”へと変えていったのです。
賞や仕組みが人を動かすのではなく、人の挑戦が制度の意味を更新し続けている。その絶え間ない往復運動が、セプテーニグループの理念を“生きたもの”として保ち続けているのです。

編集部MEMO
アントレプレナーシップを育む制度や取り組みについて
ONE SEPTENI LETTER
1年の締めくくりに日頃お世話になっている仲間に対して感謝のメッセージを送り合う全社員参加型のイベント。会社や部門を超えた横断的なコミュニケーションを促進し、グループの一体感の醸成にもつながっている。
メールバトン
テーマに沿って、企業理念に関連したエピソードや想いをメールにしたため、グループ全体に対して配信する理念浸透企画。執筆者は最後に次の走者(執筆者)を指名し、バトンをつないでいく。
新規事業コンテスト「gen-ten」
2011年から毎年開催され、数々の新会社や新社長を輩出してきた、セプテーニグループの「原点」を象徴するコンテスト。年次や役職を問わず、自身の動機とグループの未来を接合させたアイデアの立案と提案を支援するプログラムを通じて、責任者として実現する機会にチャレンジすることができる。
懸賞論文
創業初期から2024年まで続いた、セプテーニグループの文化の原型を支えた表彰制度。それぞれの時代に合わせてテーマと賞が設定され、全社員を対象に幅広く意見や提言を募った。若手からベテランまで活発な応募があり、本制度を通じて生まれた事業や仕組みは数え切れない。
第5章

あなたのアントレプレナーシップが未来をつくる

アントレプレナーシップは、セプテーニグループの理念を形成する言葉であると同時に、あなたが「自分をどう活かすか」という日常の問いでもあります。
2025年より、グループの評価システムである360°マルチサーベイの共通項目として「アントレプレナーシップ」が新たに設定されました。これは、経営陣や一部の事業リーダーだけでなく、全社員が自分の中のアントレプレナーシップを自覚し、磨き続ける必要があるという考えの表れです。
また同年にコーポレートブランディングの一環で開催されたグループ横断のワークショップでは、社員ひとりひとりが「あなたにとってアントレプレナーシップを“動詞”で表すなら何か?」という問いに向き合いましたが、そこには、“挑む” “つなぐ” “気づく” “任せる” “信じる” “笑う” “立ち向かう” など、数え切れないほど多様な言葉が並びました。誰もが違う言葉を選びながらも、そこに共通していたのは、自分の中に小さな変化を起こす意思でした。

それは、何かを始める勇気であり、誰かの挑戦を支える姿勢であり、あるいは、日々の仕事をひとつ工夫してみることかもしれません。この多様な “ひとり(ONE)”の行動や発想が他者を刺激しシナジーを生んでいく集合体、すなわち「ONE SEPTENI」となっていくのでしょう。
集合体となること。
アントレプレナーシップは、個の中に宿りながら、組織全体の推進力となる。ひとりひとりの個の力が集団をつくり、そしてひとつの大きなグループを動かしていく。その先にある、よりおもしろく、元気で、なめらかな世界をみんなで分かち合う。それが、セプテーニグループが目指す「民主化されたアントレプレナーシップ」の実践で目指す未来ではないでしょうか。
創業期から受け継がれたバトンは今、この記事を読むあなたの手にあります。
さて、あなたにとってのアントレプレナーシップとは? それは、どんな瞬間に、どんな人のために、表れますか?これを機にぜひ問い直してみてはいかがでしょうか。

編集部MEMO
グループのひとりひとりとグループの未来を描くワークショップについて

社員ひとりひとりが当社グループに所属している意義を再認識し、その人らしいアントレプレナーシップを発揮してより高いパフォーマンスの発揮につなげてほしいという想いから、個人の理念とグループの理念とのつながりを認識する場としてワークショップを開催している。「グループのひとりひとりとグループの未来を描くワークショップ」では、個人での思考やチームでの対話を通じて、ひとりひとりとグループ理念の「つながりを明らかに」しながら、その先にある「未来を描く」ことをテーマとした。
その中で、「自分なりのアントレプレナーシップや、自身の持ち味が活きていると感じる時にとっている行動を表す『動詞』を1つ選び、それを使って自分の仕事内容を伝え合う」というプログラムを用意。ひとりひとりの社員から個性豊かな動詞が挙がり、仕事に対する想いや自分なりの解釈を加えつつ、選んだ動詞と紐づけながら業務内容が相互に紹介されていた。