セプテーニグループはこれまで様々な事業を手がけてきました。
マンガ・アニメの制作とクリエイター支援を行うIPプラットフォーム事業、育児関連のコミュニケーション支援商品を販売する事業、医薬品の二次流通事業・・・。さらに90年代まで遡ると、バイク便事業やイカ焼き事業など、今では想像できない異業種の事業にもチャレンジしています。
数個挙げただけでもバラエティ豊かな事業たち。
なぜこんなにユニークな事業を展開してきたのか。またそんな中、現在主力のデジタルマーケティング事業はどのような経緯で始まったのか・・・。そんなことが気になり「事業変遷を探る旅」に出ることにしました。
どうも。SEPTENI STORY編集部です。まずは、これまでどんな事業が展開されてきたのか1990年代から振り返ってみましょう。
セプテーニグループの事業の歴史は、人材採用コンサルティング事業から始まります。
創業当時はバブル時代と呼ばれる好景気かつ完全な売り手市場で、多くの企業が人材採用に多額の費用をかけていました。セプテーニグループ(当時の社名:サブ・アンド・リミナル)も様々な方法で企業の採用活動を支援しており、その1つが学生と地方の中小企業を応援したいという想いから創刊した就職情報誌『ESOP(イソップ)』です。
『ESOP』での事業拡大を目指し、売り出していくぞ!と意気込んだ矢先、バブルが崩壊。
企業の採用活動は一転して消極的になり、『ESOP』はもちろん、多くの求人情報誌が売上を落としていきました。主力商品の売上低迷から新商品開発を迫られリリースしたのが『求人票らくらくシステム』※です。
ちなみに『ESOP』は、1993年に休刊を発表していますが、これは「価値のないと見込まれる商品を販売し続けるのは大きなストレスになるし、中途半端に引きずっていては新しいものは創造できない」という理由からだったと創業者の七村さんは言います。
1993年には次なる事業として「DM事業(ダイレクトメールの発送代行事業)」を開始しました。この事業は2014年に事業譲渡するまで、約20年にわたりセプテーニグループの事業の1つとして展開されました。
*『求人票らくらくシステム』について、詳細はこちら https://story.septeni-holdings.co.jp/dna/entrepreneurship.html#Dialog01memo
DM事業は、ダイレクトメール発送代行やチラシ制作のほか、通販会社のカタログや定期刊行物、会員誌、発送商品に広告物(チラシ・サンプルなど)を同封し、配布するといった事業です。
当時のDM事業の主力サービスは「CDP:コストダウンプラン」という名称でした。その名の通り、送料や制作料金を“他社より1円でも安く提供する”というものです。
商談がうまくまとまらずに肩を落として帰社をすると「1円の価値以上のバリューを出せるようにひねらんかい!」と先輩から叱咤されたものです。
余談ですが、一時期CDPは「CD “H”P:コストダウン“ひねらんかい”プラン」というサービス名称で展開していました(笑)。
当時DM事業の営業担当
福原 雄亮
セプテーニグループ
グループ執行役員
(※2026年3月末退任)
2000年代に入ると、インターネット広告事業が急拡大します。
最初はメルマガ広告からのスタートでした。そこから市場の成長に伴い事業領域を年々拡大し、2000年から2010年にかけての10年間でインターネット広告事業の売上高は約110倍に成長したのです。2003年の大阪営業所開設を皮切りに、日本全国に支社・営業所を開設したのもこの頃です。
■ インターネット広告事業※の売上高推移
※2000~2006年:インターネット事業、2007~2010年:ネット広告事業、2011~2015年:ネットマーケティング事業
2010年代、インターネット広告事業においては、成長分野であったスマートフォン広告やFacebookなどのソーシャルメディア関連サービスに注力しました。また、2012年から海外展開も開始し、アジア太平洋地域、アメリカ、ヨーロッパなど複数の海外拠点を開設しました。この「モバイル」「ソーシャル」「グローバル」への注力が功を奏し、2012年から2015年まで4期連続で増収増益を果たしました。
また広告以外では、インターネット関連の新規事業も立ち上がりました。
「ビビビット」や「gooddo」を事業化したのもこの頃です。
2025年4月にMANGO株式会社と合併し、新たに「SEPTENI CORE株式会社」としてスタートした株式会社ハイスコアも、2010年の設立当初は「LIKE!」という、企業が商品やサービスのソーシャルモニターイベントを実施できるプラットフォームを運営していました。
そして2013年には、インターネット広告事業に次ぐ新たな事業の柱をつくるという目的のもと、新規事業として自社IP(知的財産)の企画・開発を手がけるIPプラットフォーム事業も開始され、マンガアプリ「GANMA!」がリリースされました。
次なる転換点は、2019年1月から開始した電通グループとの資本業務提携です。これを契機に「オンオフ統合マーケティング」に注力していきました。
そして、2022年1月には資本業務提携を深化、電通グループの連結子会社となりました。
オーガニックでの事業成長と本提携の両軸によって、グループの成長を加速させ、さらなる発展を実現する基盤を構築しました。
2025年10月に開催されたオープントーク(※)では、dentsu Japan CEOの佐野さんと神埜さんのトップ対談が行われた。この7年にわたる協業を振り返り、神埜さんは「組織として協業が『自走』し始めたことが大きな変化だと感じている」とし、両社のシナジーによる具体的な成果を含めて成長実感を語られた。一方佐野さんも「義務感のために協業をしている人がいない」と述べ、「スピード感を持って積極的に提案していくスタイルがフィットしているようで、協業が非常にナチュラルに進んでいますね」と、両組織の文化的な相性の良さが成功につながっていると述べられた。
セプテーニグループの掲げるアントレプレナーシップと電通グループが掲げるインテグリティの融合がこれまでも、これからも、この協業の成功の鍵だと両者は語る。
※オープントークはdentsu Japan各社の社員と佐野さんが対話をするイベント。当社でのイベントの様子はこちら:
https://note.com/septeni_group/n/na99e35aeb59f
2024年4月には経営体制を刷新。新たに代表取締役となった神埜雄一さんのリーダーシップのもと、集団指導体制の構築と推進により、さらなる企業価値向上を目指しています。
新体制のスタートにあたり、中期テーマに「フォーカス&シナジー」を掲げ、デジタルマーケティング事業を中心とした既存事業への「フォーカス」、そして、グループ内、事業内、事業間それぞれにおける「シナジー」の創出を目指しています。
猛スピードで35年の事業を振り返って、ふと気づきました。セプテーニグループは、どの事業においても誰かを元気にすることが原点であることに。人材採用関連事業では求職者と募集企業を、DM事業ではダイレクトマーケティングを行う企業を支援し、エンパワーメントしてきました。そしてインターネット広告事業では、あらゆる顧客ビジネスの成長、つまりあらゆる顧客がより元気になることを目指して活動しています。
ここで新たな疑問が浮かびました。「誰かを元気にする」という共通点があるセプテーニグループの事業は、どのようなきっかけでスタートしたのだろうか・・?さらに深く探るべく、インターネット広告事業開始の背景について調べてみることにしました。
1999年に開始したインターネット広告事業。開始のきっかけは、新卒入社3年目で当時主力だったDM事業のトップ営業だった佐藤光紀さんが「もう今の仕事に飽きました。何か新しいことをしたいです」と当時代表の七村さんに伝えたことでした。
ちょうど会社としても新規事業の必要性を感じていた頃だったということで、七村さんは、新規事業開発専門部署『ひねらん課』を設置し、佐藤さんはその第1号社員となりました。
メンバーは佐藤さん1人で、PC1台と電話のみが与えられたと言います。
『ひねらん課』には「配属後6ヶ月以内に事業計画を役員にプレゼンし、そこで事業化が承認され事業を開始した場合、6ヶ月以内に単月黒字化、丸1年で累積損失一掃。それができなければ事業撤退」という厳しい条件がありました。
佐藤さんは「何をやろうか?」と様々な事業を考えては止め、考えては止めを繰り返していたそうです。当時を振り返り佐藤さんはこう話します。
「異動してすぐは新規事業案を考えつつも、何も会社に貢献できていないことに後ろめたさが多少あり、周りの人に“何か手伝うことはありますか?”と聞いていました。“イカ焼き事業を撤退することになったから、その機械を売ってきてほしい”と言われ、売りに行ったのがひねらん課での初仕事でした(笑)。
その後何十個も事業を考えていくうちに、「どうも自分のアイデアには軸がない」と思い、基準をつくろうと思いました。」
そうして佐藤さんが設けた「7つの軸」がこちらです。
「その後100個以上の事業案を考える中で、『7つの軸』を満たし、かつ、実際にフィジビリティスタディを経て残った2つの事業のうち1つが『インターネット広告事業』でした。既存のテレビや新聞・雑誌などの広告がインターネットメディアの広告に置き換われば、インターネット広告の市場性が高いと判断したからです。また、未開拓な市場なので優秀な若者が活躍できると考えました。」
こうしてセプテーニグループの飛躍的な成長につながる「インターネット広告事業」が誕生したのです。ちなみに、佐藤さんはこのとき24歳。
言わずもがなですが、「インターネット広告事業」は『ひねらん課』の厳しい事業継続条件を見事クリアし、25年以上経った現在も成長を続けると共に、毎年優秀な人材が集まる魅力的な事業になっています。
「インターネット広告事業」以外で候補に上がったのは「グルメコーヒー事業」だったそうです。悩んだ結果、飲食業は店舗や機材、食材等の在庫を持たなければいけないという点で大きな資金調達が必要になる。一方インターネット広告事業はPCと電話のみで身軽に始められたということで、インターネット広告事業を選んだとのこと。
佐藤さんは言います。
「企業とは“未完成”であり続ける創造物。サグラダ・ファミリアのように、世代を超えて新しい手が加えられ、進化し続けていくべきだと思っています。」
どんな事業も、やがて成熟し、変化を求められる時が来る。
その瞬間に必要なのは「守る力」ではなく、「変えていく勇気」です。セプテーニグループはこれまで、大きな転換点を何度も乗り越えてきました。
かつてDM事業を主軸としていた時代、世の中が紙からデジタルへ移行する兆しをいち早く掴み、24歳の若者がインターネット広告事業を立ち上げました。当時はインターネット普及率がわずか21.4%だった時代です。
そしてスマートフォンの登場やSNSの台頭。新たなデバイスやプラットフォームを活用すべく会社全体が再び試行錯誤を迫られました。若手が中心となってSNS広告の運用支援をスタートし、それがやがて新たな成長の柱になっていきました。
このようにセプテーニグループは、時代の変化を的確に捉え、何度も挑戦し、失敗と成功を繰り返しながら、自らの形を変えて進化してきたのです。
創業者・七村さんの言葉——
「価値を生まないものを引きずっていては、新しいものは創造できない。」
この思想は今も現場の隅々に息づいています。
現場では日々、“前例のない仕事”に挑むメンバーがいます。成功の再現よりも、「まずやってみよう」「試してみよう」という声が飛び交う。失敗しても責められず、むしろ「挑戦したこと」を讃え合う。そうした空気があるからこそ、社員は安心してチャレンジできるのです。
「ひねらんかい(=知恵を出そう、工夫しよう)」という社是は、単なるスローガンではありません。思考を止めずに、状況に合わせて形を変え続ける“柔らかな強さ”を象徴しています。それは「変化を恐れない」というより、「変化を楽しむ知性」と言えるかもしれません。
そしてこの“未完を楽しむ文化”は、次の世代にも確かに受け継がれています。入社数年の若手社員が新しいサービスや事業構想を自由に提案できる機会「gen-ten」は、まさにその象徴です。
経験や立場を問わずアイデアが採用される風土は「自分も会社をより良くする一員だ」というアントレプレナーシップを育んでいます。
セプテーニグループは、完成を目指す会社ではなく、常に進化の途中(プロセス)を楽しむ会社。
それは、変化を恐れず、未来を信じるすべての社員の手によって形づくられているのです。
2024年、セプテーニグループは新しい時代のドアを広げました。
代表取締役に神埜さんが就任。平均年齢が若返った新経営体制のもと、グループは次のフェーズへと舵を切りました。神埜さんが掲げたキーワードは、「フォーカス&シナジー」。
デジタルマーケティングという強みを核に、グループ内外の知見や技術、人材を横断的に掛け合わせ、“個の力を束ねてチームの力へ”と転化していく戦略です。
かつてのセプテーニグループは「挑戦する個人の集まり」として遠心力的に成長してきました。しかし、事業規模が拡大し、事業環境も変化する中で、今必要なのは“個の挑戦”を“集団の成果”へと昇華させること。それが「フォーカス&シナジー」という言葉に込められた真意です。
神埜さんは就任時にこう語っています。
「セプテーニグループの最大の強みは“人”です。だからこそ、組織が成長し続けるには、個の情熱を束ね、その熱をお客様の価値へと転化させる仕組みが必要だと思っています。」
この構想の先にあるのが、グループ全体の長期目標でもある「10X(テンエックス)」。「当社のマルチステークホルダーへの提供価値を現在の10倍の水準に」という数字的目標の裏には、“自分たちの限界を一度リセットし、もう一段上の未来を見据える”という意味が込められています。
10Xは単なる経営指標ではなく、挑戦の比喩です。現状維持ではなく、事業そのものを再定義し、社会に対して新たな価値を生み出していく覚悟の表れでもあります。
神埜さんは、これからのセプテーニグループが目指す姿をこう語ります。
「私たちの使命は、お客様のマーケティングKPIを改善することのみに留まりません。本当に目指すのは、お客様の企業価値そのものを高めること。私たち自身が“お客様の成長をつくるパートナー”でありたいのです。」
例えば、広告運用で成果を上げお客様の“売上向上”に貢献することに加えて、お客様のコスト構造変革への支援やお客様の組織開発や採用などの経営基盤の構築・成長支援にまで踏み込む。デジタルビジネスで培ってきたノウハウやケイパビリティーで、お客様の“企業価値向上”に向けての伴走者となることを目指しています。
広告という枠を超え、“ステークホルダーを元気にする企業”へ、
言い換えると“人と企業の可能性を拡張し続ける存在”へ。
挑戦の連続で築かれてきた35年の先に、新しいセプテーニグループの物語が、今また始まっています。
これからの事業の道筋が示されたところで「事業変遷を探る旅」は、ここで一旦終了。 トライアル&エラーを繰り返しながら紡がれてきた歴史は、セプテーニグループが「未完の創造物」であることを教えてくれました。
サグラダ・ファミリアの石工が次の世代を信じて石を積み上げるように、私たちもまた、未来のセプテーニグループを創るひとりです。
さて、あなたはこの壮大な建築に、どんな「ひとつ」を刻みますか?
そのひとつひとつが、数百年後の未来を形づくる礎となるのです。